ナビゲーションシステムを用いた肘関節鏡手術の有効性に関する研究

1.実施期間  2020年11月1日~2025年3月31日
2.研究機関 大阪大学整形外科
3.主任研究者 岡 久仁洋 大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科)
4.研究目的 本研究の目的は変形肘に対する3次元術前計画とナビゲーションシステムを用いた病変切除の安全性・有効性を検討することです。
5.対象と方法 ナビゲーションシステムを用いる方法が最適と判断される変形性肘関節症、関節リウマチの患者を対象とします(健康人を対象としない)。対照群として過去に実施したナビゲーションを用いずに手術を行った20例(2010年4月~2020年10月)のデータを用います。
6.意義 変形性肘関節症は肘関節にかかる過度の負担により、軟骨が変性し骨棘が形成される疾患です。関節リウマチでは関節軟骨が変性し、変形や関節不安定性に伴い骨棘が形成されます。骨棘により肘関節の形態が変化し、骨棘がぶつかることにより肘関節の可動域が制限され疼痛が出現し、洗顔や食事動作などの日常生活動作が制限されます。上肢機能回復のため、標準的な治療として直視下での肘関節骨棘切除や、より低侵襲な関節鏡視下での切除が一般的に行われていますが、関節内の3次元的病変を単純X線で評価することは困難であり、3D-CTにおいても定性的な評価が限界であることが問題となっていました。近年の手術シミュレーション技術の発達により、複数ポジションのCTデータをもとに3次元関節運動を再現することが可能となり、正常の可動域を得るための切除病変を術前に特定できるようになってきました。これまで、本技術を用いて、変形肘関節に対して術前シミュレーションを行い、関節鏡による骨棘切除術を施行し良好な結果を得られていますが、術前シミュレーションは、あくまで術前画像で病変部を表示するだけであり、実際の術野では、可動域制限の原因となっている病変と正常部分の判別が困難であるため、切除範囲は術者の主観的な判断となります。また、実際の手術は術者のマニュアル操作で行われるため、切除範囲の正確性にも限界があります。さらに、関節鏡手術は難易度の高い手術であり、手術成績は術者の技量に大きく左右されることも課題です。そこで本研究の術式では術前シミュレーションで得られた切除部位の3次元データをナビゲーションシステムに転送することにより、術中にリアルタイムに病変部を描出し、切除のために用いるバー先端と病変部の位置関係を確認したうえで、骨棘切除が可能となり、手術の精度が飛躍的に向上するとともに、安定した術後成績も期待できます。
7.研究に用いる試料・情報の種類 情報:年齢、性別、病名、レントゲン、CT画像等
8.外部への試料・情報の提供 外部へのデータ提供は行いません。
9.お問い合わせ先 本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
大阪大学医学系研究科器官制御外科学
住所:吹田市山田丘2-2
電話番号:06-6879-3552
担当者・研究責任者:大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学(整形外科) 岡 久仁洋