股関節手術後の四次元動作解析システムの開発

6.骨格モデルの精度について

人工関節の金属アーチファクトの影響により、元となるCT画像の画質が非常に悪く、股関節周囲の輪郭抽出が不正確になる。本システムにおいては、モデル作成の際に骨領域のセグメンテーションを半自動で行っているが金属アーチファクトが影響している部分については輝度値を元にしたRegion Growingなどの自動セグメンテーション手法では対応できないため、手動で行わなければならず、再現性や誤差などの問題が生じる
現在考えている対処方法としては次のようなことが挙げられる。

1.CTでの撮影条件の改良

CT撮影時に管電流や管電圧を上げることでより精度の高い画像が得られる。しかし、患者の被爆量の問題や管球に与える負荷が大きくなるなどの問題から難しいのが現状である。そこで、直接解析に関係のない膝関節や下腿部などに関してはイメージ間隔を大きくし、取得するスライス数を減らすことを考えている。これによって対象とする股関節部分に関してはより鮮明な画像が取得できる。

2.金属アーチファクト低減アルゴリズムの使用

本研究ではヘリカルCTを使用しているが、ヘリカルCTによって取得した生データに対して金属アーチファクトを軽減するANR(Advanced Noise Reduction)というアルゴリズムを使用することも考えている。しかし、このアルゴリズムを使用すると画像の歪み、輪郭の不鮮明などといった問題があるとされており、作成した三次元モデルの体積の検証などによる精度検証が必要であると考えている。