股関節手術後の四次元動作解析システムの開発

1.人工股関節全置換術後患者の三次元骨格モデルの作成

人工股関節全置換術後の患者の動作解析を仮想空間上で行うための準備として、患者の三次元的な骨格モデルを作成した。
まず、患者の骨盤から下肢にわたる領域をCTで撮影した。この際、解析を行うために重要となる股関節部分のモデルを特に高い精度で作成することが可能となるように、関節部分に関してはイメージ間隔1mmで、その他の部分に関しては3mm〜10mm間隔で撮影し、全部で約350枚の断層画像データを取得した。得られた断層画像から骨格領域の抽出を行い、三次元的なモデルを作成した。CTでの撮影条件を図1に示す。

1.人工股関節全置換術後患者の三次元骨格モデルの作成
1.人工股関節全置換術後患者の三次元骨格モデルの作成

ここで、モーションキャプチャデータをもとに骨格を駆動する際にマーカーの位置と骨格位置との相対的な位置関係が必要となるため、CT撮影時にマーカー位置に目印となるもの(本研究ではゴルフのティーを用いた)を貼り付けて撮影を行った。
また、CT画像においては人工股関節周辺部分に金属アーチファクト(金属による画像の乱れ)が多く生じ詳細な画像が取得できないため、図2のように、カップとステムとの境界がはっきりしないモデルとなってしまう。人工股関節の動態を解析するためには、このモデルでは不十分である。