股関節手術後の四次元動作解析システムの開発

5.結果

5.1 人工股関節全置換術後患者の三次元骨格モデルの作成結果

CTより作成した人工股関節全置換術後患者の三次元骨格モデルを図9に示す。

5.結果

5.2 モーションキャプチャによる骨格モデルの駆動結果

対象患者のモーションキャプチャデータをもとに骨格を駆動させた結果を図10に示す。図は右から左方向へ歩行している様子を、連続描画した図である。本モデル上で自然な歩行動作が実現されていることがわかる。

5.結果

5.3 人工股関節の動態解析の結果

骨格の半透明表示結果

5.結果

作成した三次元骨格モデルの大腿骨と骨盤とを半透明表示した結果を 図11に示す。半透明表示したことにより、人工股関節のより詳細な動態が観察可能となり、また周辺骨に対する人工股関節の状況を容易に把握することが可能となっていることがわかる。

5.4 股関節角度の計測結果

歩行動作時の股関節角度をグラフで表示した結果を図12に示す。

5.結果

5.5 オブジェクト同士の干渉判定の結果

座位において、オブジェクト同士の干渉判定を行った結果を図13に示す。図の左側が座位における骨格モデルの全体像を表しており、右側が股関節部分の拡大図である。赤色の部分が接触している部分を表している。このモデルでは、人工股関節全置換術の後方脱臼の危険肢位といわれる複合動作(屈曲、内転、内旋) の際に大腿骨と骨盤とが接触している様子がわかる。

5.結果

5.6 関節摺動面の磨耗評価

人工股関節全置換術後の患者の一歩行周期において、関節摺動面の磨耗評価を行った結果を図14に示す。

5.結果

下の図がカップの内側面に磨耗の度合いを色情報によってマッピングした様子で、上の図がこのときの股関節部分の全体図である。下図で緑の軸が体の前方であり、青い軸がこの軸と垂直でかつ前額面上の軸である。これらの軸は上図の軸と対応している。下図で左下のカラーバーは色と実際の磨耗度合いとの対応関係を表しており、左側の数値は磨耗度合い、すなわちカップ上の対象点がヘッド上を描いた距離をmm単位で表示したものである。
この図から股関節外側部分のカップの内面は他の部分に比べ、ヘッド上を描く軌跡が短い、すなわち引っかきによる磨耗が少ないものと予測され、また前方のカップ内面は磨耗が多いと予測される。具体的な軌跡の距離から磨耗の度合いの較差は、最大と最小では約3.5倍ほどであることが推測される。