内田 良平 先生

平成19年入局
関西労災病院 スポーツ整形外科部長

初めまして、これを見ている皆さんは、どの科を選ぼうか、どの大学の医局に入ろうか、専門を何にしようかと、わくわくした気持ちや不安でいっぱいだと思います。そんな皆さんに、大阪大学整形外科っていいな、スポーツ整形外科ってやりがいあるな、と感じてもらえたらと思い、今これを書いています。

私は関西出身で、高校時代はバスケットボールをしていましたが、弱小でした。当時、京都大学アメリカンフットボール部は、国立大学にも関わらず、何度か日本一になっていました。日本一になるチャンスは人生で滅多にはないので、私も日本一になってみたいという思いだけで、学部のことは深く考えず京大を受験しました。薬学部に合格し、アメフト漬けの大学生活がスタート、2年生から試合に出場、恩師の水野元監督の下で学生日本一や学生日本代表としてかけがえのない経験をさせてもらいました。

写真1 | 京都大学時代/世界選手権決勝

卒業後は、色々な思いから、医師を目指すこととし、まず大阪大学医学部の学士入学の試験を受験するも不合格!さらに受験勉強、前期の入試で再度阪大医学部を受けるもののまた不合格! 「こんなところ二度と来るか」との思いで、名古屋大学医学部へ。勉学に励みながら?関西の社会人リーグ1部所属のチーム(アサヒ飲料チャレンジャーズ)で、アメフトを続けていました。医学部3年生の時に記念すべきアメフトの第一回世界選手権があり、選手として参加、アメリカとカナダが東欧の紛争で参加できなかったこともあり、日本は優勝しました。金メダルは小さなプラスチック製ですが、今でも宝物です。

医師になってからは、名古屋大学の関連病院へ勤務。整形外科への入局を決めたのは、医局の先生方のエネルギッシュに仕事をする姿に憧れたからでした。5年が過ぎ、専門分野をスポーツ整形にするかどうかということを考えていた矢先、父親の健康面の問題で、関西に帰らなければならなくなったのです。阪大を含めて、幾つかの関西の国立大学の医局に見学に行き、「入るわけない!」と思っていた阪大整形に決めました。その理由には関連病院の数や規模もありますが、なんといっても特化した専門分野です。

『スポーツも仕事も、どうせやるなら本物のエキスパートになりたい』

そういう専門的なドクターになるチャンスがあるのが、阪大整形だと思います。私の場合は、スポーツ整形の勉強合宿や、グループのミーティングに参加させてもらい、顔を覚えてもった後に、スポーツ整形外科医として、いくつかの関連病院で勉強させてもらいました。カルチャーショックだったのが、研究施設でもない通常の病院勤務でも、外来診察や手術だけでなく、日常診療をヒントに研究を行い、常に世界に発信することで、より良い診療に繋げるというものでした。これは阪大スポーツ整形を牽引して来られた行岡病院の史野根生先生や大阪府立大学の堀部秀二先生が作って来られた文化なのでしょうが、岡田誠司新教授の研究に対するお考えにも共通するところがあると感じています。

阪大スポーツ整形には、多くの病院に魅力的で情熱的な指導医が、また臨床にも研究にも真剣に向き合う、共通の価値観を持った同期や後輩たちがいます。そういった人たちと同じ時間を共有できることは、人生の楽しみであり、阪大整形の魅力の一つだと思います。特に、スポーツ整形外科で経験の積める施設や指導医の数がここまで多いのは、日本中探しても大阪大学だけではないでしょうか。

写真2 | 愛すべき阪大スポーツグループの面々

ところで、スポーツ整形外科医には、研究や病院での日常診療とともに、もう一つの顔があります。それは、スポーツの試合への帯同といったフィールドワークです。アメフトでは、大阪保健医療大学の中村憲正先生を筆頭に、阪大整形外科の医師10人ほどのアメフトドクターズグループから、高校から大学、社会人リーグの約10チームの試合や大会にドクターを派遣しています。私もいくつかのチームに関わっていますが、母校である京大アメフト部ではチームドクター兼コーチをしています。シーズン中は試合が多く、休みがない時もありますが、手術した選手が復帰して活躍するのを間近に見ると、この仕事をしていて本当に良かったと感じています。フィールドワークに参加することで、怪我した選手の治療だけではなく、怪我を減らすための予防、さらに病院での治療が終わった後の復帰までの過程など、全体を通して関わることができ、より深く見えてくることがあると考えています。我々も、障害予防の観点で、アメフトでの脳振盪の発生状況を神戸大学の先生方と一緒に調査したり、人工芝と膝の障害発生との関連について調べています。

写真3 | 試合帯同

阪大スポーツ整形では、アメフトだけでなく、野球、サッカー、バスケ、ラグビー、テニス、バレーボール、陸上、ゴルフ、相撲など多種目にわたり、またプロから大学、高校生など様々なレベルのスポーツ選手に関わっています。皆さんも、自分の興味あるスポーツや経験してきたスポーツに携わってみるのはどうでしょう。

エキスパートになりたければ、スポーツに関わりたければ、阪大整形外科で、一緒に頑張りましょう!!!

写真4 | 関西ろうさい病院 スポーツ整形外科