秦 絵莉子 先生

平成30年入局

私が整形外科医を志したのは初期研修で整形外科をローテーションしたことがきっかけでした。

漠然と外科系が面白そうだと感じていた矢先でした。外科医は寿命が短いなど不吉なことを小耳に挟みつつ研修をしていた際、ふと整形外科の文字が目に止まり、昔小さい頃に足の切創などで通っていた整形外科の先生を思い出しました。学生実習の際に一番最初に見た手術が整形外科のオペで、宇宙服を着たり人手として借り出され足持ちなどの助手をさせてもらってことも記憶にひっかかりを残した一因かもしれません。繊細かつダイナミックな手術をみてかっこいいと純粋に感じ惹かれたことを思い出しました。でもあんな手術、果たして自分に出来るのか。外傷や関節などの手術では人手も要り、大の大人が苦労してこなしているような印象がありそれを実際に自分がこなせるかどうか、外から見た憧れとはまた別であるように思えました。また整形外科に対する一種の偏見(?)でスポーツ万能、ムキムキマッチョな先生ばかりだったらどうしよう、自分は身丈も足りないし大した力もないし…と戦々恐々としながら門戸をたたきました。実際ローテーションさせていただき、肉体派かというと意外とそうでもなく、また運良く女性の先生方が沢山いらっしゃる環境であったため何故か居心地が良くそのまま入局させていただいたという所存です。

写真1 | 大阪大学整形外科は女性の先生方が沢山いる環境です。

その後は市中病院をメインにローテーションさせて頂き、さまざまな外傷や手術を経験させていただきました。忙しい基幹病院では仕事量も多くしんどさを感じる面も多かったですが、心のどこかではそれでも治療に関われる楽しさを感じて働いていました。今思えばワーキングハイとでもいうのでしょうか、脳内麻薬的なものが出ていたのかもしれません。

整形外科は骨折やスポーツ外傷など激しめの受傷機転を持つ患者さんから、関節症やヘルニアといった加齢性の変性疾患によって悩まれる患者さんなど老若男女様々な世代の多様な生き方をする人々から必要とされる分野です。扱う疾患によりけりですが比較的結果がわかりやすく、きちんと治療できればADLが上がり100%感謝されることも多い科で非常にやり甲斐のある仕事だと感じます。

もし女性だから難しいのではないかと感じている初期研修中の先生方、学生の先生方がおられましたら、そんなことはないよと,私からもお伝えしたいです。私自身、足持ちの仕方ひとつ力のかけ方ひとつでしんどくならない方法がある、だから男女関係なく出来るよと女性整形外科医の先生が言って下さったことが大変励みになりました。お陰様でなんとか今日まで整形外科医として歩んでこられました。是非興味を持たれた方はその気持ちを捨てずに整形外科の扉をたたいていただきたいと願っております。自分が一番面白いと感じることに携われることは幸せであり、必ず心の支えとなってくれると思います。臆せず邁進しましょう!

写真2 | 「男女関係なく出来る」